ECMOシミュレーション

ECMO Simulation

ECMO(体外式膜型人工肺)という医療機器をご存知でしょうか?急性呼吸窮迫症候群(ARDS)のような重症呼吸不全では、肺を安静に保つ「肺保護換気法」が、患者さんの生命予後(寿命)改善に有効です。通常の人工呼吸器でも「肺保護換気法」を行うことは可能ですが、ECMOを用いるとさらに高度な「肺保護換気法」を行うことが可能になります。2009年のH1N1インフルエンザ・パンデミックの際には、通常の人工呼吸器では救命できなくても、ECMOを使用することで救命率が向上する可能性が学術的に示されました。しかし、ECMOは取扱いが容易な医療機器ではないため、有効活用するためには高度のトレーニングが必要です。

トレーニング風景

このため、2017年,2019年に広島大学病院でECMOシミュレーションコースが開催されました。このシミュレーションコースは、呼吸療法医学会ECMOプロジェクトのご支援のもと開催されており、2017年が第10回目の開催となりました。中国地方以西では初の開催であり、西日本を中心に全部で24名の医師・看護師・臨床工学技士の方々に受講して頂きました。座学でECMOに関する一般知識を学ぶのみならず、本物のECMO機器を用いて、チューブを切ったり回路を組んだりして、実際の臨床さながらの体験をして頂きました。

トレーニング風景

①ECMO回路のプライミング、②空気混入時の対処、③人工肺交換、④ハンドクランクの使用法を中心に、様々な実習をして頂きました。「難しかった」「もっとじっくりと練習してみたい」といったご意見も頂きましたが、大部分の受講者の方からは「満足した」というお声を頂きました。広島大学でのECMOシミュレーションコース開催は今回が初めてでしたので、会場設営・テキスト製作・インストラクターの依頼等、色々なことが手探り状態でのスタートでした。今回の経験と受講生の皆さんからのご意見をもとに、今後もより良いECMOシミュレーションコースを築き上げて行きたいと考えていますので、引き続きご支援を頂ければ幸いです。

救急初期診療から全身管理まで

最後になりましたが、今回のECMOシミュレーションコース広島開催にご協力頂きましたすべての皆様に、心から感謝を申し上げます。誠にありあとうございました。