救急医療について

Emergency Medical Care

救急医療

来院時の年間重篤患者数(令和2年1月~令和2年12月)

内因性疾患の内訳 グラフ

DPCデータに基づく病院情報の公表(令和元年度)

救急初期診療から全身管理まで

救急初期診療から全身管理まで救急医療には広島県内から小児から成人まで、また内科系疾患から外傷を含め多岐にわたる年齢・症状の患者が搬送されてきます。また他病院からの重症患者の転院搬送も積極的に受け入れています。救急車やヘリにて初期診療を行い、必要であれば他科と連携して治療を行い、その後の管理も含め救急科主体で行っています。その他Rapid response system (RRS)による院内での急変対応も積極的に行っています。

救急初期診療から全身管理まで

ドクターヘリ

広島県は北部に中国山地、南部には瀬戸内海に数多くの島嶼部を有し、全国でも北海道に次いで2番目に多い「無医地区」を抱えています。当院は2013年5月より運航を開始した広島県ドクターヘリの基地病院です。協力医療機関である県立広島病院と連携し、広島ヘリポート(広島市西区)に発進基地を整備して運用しています。ドクターヘリは30分以内に県内全域に迅 速に救急集中治療を提供し、地域医療体制の中で欠かせない存在となっています。また、「中国5県ドクターヘリ広域連携協定の締結」や県内に2機配備された消防・防災ヘリとの連携など、全国でも先駆的なヘリコプター救急医療体制の構築に取り組んでいます。

ドクターヘリ

災害医療・緊急被ばく医療

広島県災害拠点病院として災害医療活動、人材育成に積極的な取り組みを続けています(DMAT隊 員29名在籍)。また、広島大学は被爆地「ヒロシマ」の大学です。国の「原子力災害対策指針」 の中で「原子力災害医療・総合支援センター」、「高度被ばく医療支援センター」に指定され(全 国では5カ所)、日本の被ばく医療体制の中で中心的な役割を担っています。東日本大震災と福島 第1原発事故では病院の救急集中治療部門として、DMAT派遣、緊急被ばく医療チームの継続的な 派遣を担いました。緊急被ばく医療の専門家を育成する拠点として、大学院の教育カリキュラムや、 HICARE(放射線被曝者医療国際協力推進協議会)/IAEA(国際原子力機関)と連携した教育プロ グラムを提供しています。

災害医療・緊急被ばく医療

ICT(Information and Communication Technology)

病院前救護・災害現場との情報共有の研究を行っています。 2011年から広島市消防局全救急車にカメラ・生体モニターを搭載し、救急車内の映像を各救 命センターに配信するシステムを開発し広く活用されています。それを活用した研究も積極的 に行っています。

ICT(Information and Communication Technology)

ドクターヘリ

概要

ドクターヘリとは、医療機器や医薬品を装備し、医師、看護師が搭乗して救急現場に出動する、救急医療専用ヘリコプターです。
救急搬送時間を短縮するのみではなく、病院前の救急現場に医療チームを派遣し、現場から救急診療を提供することのできるmedical delivery systemであるといえます。
広島県は多くの島嶼部や中山間地を抱え、北海道とならんで我が国でも多くの医療過疎地を有する地域です。広島大学病院はドクターヘリ基地病院であり、その機動性を活かして30分以内に県内全域に迅速に救急集中治療を提供する役割を担っています。

敗血症治療のオピニオンリーダー

特徴

広島県ドクターヘリの特徴は、複数医療機関による協力体制、発進基地方式による運用と消防・防災ヘリとの連携、中国地方5県広域連携に基づく隣県との協力体制です。

救命救急センターである県立広島病院をドクターヘリ協力医療機関とし、また、県内18の災害拠点病院と連携し、ドクターヘリ事業とともに、救急医療を支える体制を構築しています。学生、研修医、消防職員の教育をはじめ、他医療機関からも救急医療に従事する医師の研修を受け入れ、人材育成を図っています。

人材育成

広島ヘリポートに発進基地を整備し、専従の医師・看護師を配備しています。広島市消防航空隊基地と隣接して整備されており、多数傷病者発生時・重複要請時には、消防・防災ヘリと連携してヘリコプター救急医療体制の充実を図っています。

ヘリポート

中国地方では広島県の他、岡山県、島根県、山口県にドクターヘリが配備されています。ヘリコプターが県域を越えて活動できるよう、平成25年1月に中国5県知事およびドクターヘリ基地病院長により協定が締結されました。これにより、現場に近いドクターヘリが迅速に活動し、また、災害時には複数のドクターヘリが協働する体制を構築しています。

ドクターヘリ活動エリア

緊急被ばく医療

緊急被ばく医療; Radiological Emergency Medicineは,いつでもどこでも誰でも受けられる医療といえます。東日本大震災・福島第1原発事故以降さらにその重要性は更に叫ばれています。東海村JOC事故以来、本邦に緊急被ばく医療システムが整備され、当時より広島大学病院は国から3次被ばく医療機関に指定され、様々な活動を行ってきました。

緊急被ばく医療1

2011年3月に起こった東日本大震災、それに伴う東京電力福島第1原発事故は全世界に大きな衝撃をもたらし、長年緊急被ばく医療に関わってきた私達にも大きな影響をもたらしました。福島第1原発事故後現地にスタッフを派遣し、住民への線量測定やその後の健康管理、被ばく医療体制の構築を行ってきました。それは我々にとっても、とても有意義な経験となり、必ず今後に生かしていく使命があると考えています。

緊急被ばく医療2

災害医療への取り組み

地震や津波、土砂災害などの自然災害や航空機事故・列車事故といった人為災害で同時に多数の傷病者が発生した場合には、傷病者数に対して医療資源が圧倒的に不足した状態になります。限られた医療資源で多数の傷病者の治療に当たることが求められ、平時とは異なる概念の下で医療を行う必要があります。
わが国では、阪神・淡路大震災を契機に、災害拠点病院の整備、広域災害・救急医療情報システム(Emergency Medical Information System : EMIS)の整備、災害派遣医療チーム(Disaster Medical Assistance Team : DMAT)の養成が行われてきました。

災害医療への取り組み1

当院は広島県災害拠点病院に指定されています。高度救命救急センターのスタッフを中心に多職種からなる29名のDMAT隊員が在籍しています。2011年3月の東日本大震災、2015年8月の広島市大雨土砂災害、2018年7月の広島市豪雨災害において、現地へのDMATの派遣、拠点病院として重症患者の受け入れを行ってきました。
平時から病院前救急医療や重症傷病者の診療を担当する私たちには、災害医療においても中心的な役割を担っていくことが求められています。DMAT隊員(令和2年4月現在) 29名
医師11名(統括DMAT3名)、看護師11名
業務調整員7名(薬剤師4名)

災害医療への取り組み2